○東松島市職員における障害者差別解消の推進に関する対応要領
平成30年2月9日
訓令甲第2号
(目的)
第1条 この訓令は、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号。以下「法」という。)第10条第1項及び障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針(平成27年2月24日閣議決定)に基づき、同法第7条に規定する不当な差別的取扱いの禁止、合理的配慮の提供に関する事項等について、職員が適切に対応するために必要な事項を定めるものとする。
(1) 職員 次に掲げる職にある者(地方公務員法(昭和25年法律第261号)第22条の2第1項に規定する会計年度任用職員及び同法第22条の3の規定により臨時的に任用された職員を含む。)をいう。
ア 市長の事務部局の職にある者
イ 議会事務局及び各種委員(会)事務局の職にある者
ウ 教育委員会の所管に属する教育機関の職にある者
(2) 障害 身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害をいう。
(3) 障害者 法第2条第1号に掲げる者をいう。
(4) 社会的障壁 法第2条第2項に規定されているものをいう。
(不当な差別的取扱いの禁止)
第3条 職員は、法第7条第1項の規定のとおり、その事務又は事業を行うに当たり、障害を理由として障害者でない者と別表第1に例示するような不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。
(合理的配慮の提供)
第4条 職員は、法第7条第2項の規定のとおり、その事務又は事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について別表第2に例示するような必要かつ合理的な配慮(以下「合理的配慮」という。)の提供をしなければならない。
(管理監督者の責務)
第5条 管理監督の地位にある職員(以下「管理監督者」という。)は、前2条に規定する事項に関し、障害を理由とする差別の解消を推進するため、その所管する事務又は事業に関し、次に掲げる事項を実施しなければならない。
(1) 日常の職務を通じた指導等により、障害を理由とする差別の解消に関し、所属職員に対し注意を喚起し、その認識を深めさせること。
(2) 障害者、その家族その他関係者(以下「障害者等」という。)から不当な差別的取扱い、合理的配慮の不提供に対する相談、苦情の申出等があった場合は、迅速に状況を確認すること。
(3) 障害者への合理的配慮の必要性が確認された場合、所属職員に対して、合理的配慮の提供を適切に行うよう指導すること。
2 管理監督者は、障害を理由とする差別に関する問題が生じた場合には、迅速かつ適切に対処しなければならない。
(合理的配慮の内容に疑義等がある場合の対応)
第6条 管理監督者は、障害者への合理的配慮の提供の際、当該配慮の内容に疑義が生じた場合においては、人事担当課長及び障害福祉担当課長と連携しながら適切な対応に努めるものとする。
(相談体制)
第7条 職員による障害を理由とする差別に関する障害者等からの相談等については、各部署でその対応をするものとする。
2 管理監督者は、前項の相談等の対応をする場合は、対面、電話、ファクシミリ、電子メールその他障害者がコミュニケーションを図る際に適当と認める連絡手段の確保に努めるとともに、障害者の性別、年齢、障害の特性等に配慮した対応を行うものとする。
3 管理監督者は、第1項の相談等の対応においては、当該相談等の事実確認をした上で、対処する必要があると認めるときは、速やかに是正措置、再発防止策等の必要な対応を行うとともに、これらの処理状況を人事担当課長へ報告するものとする。
4 人事担当課長は、前項の報告を検証した上で、必要に応じて処理状況に対する指示を行うものとする。この場合において、集約した報告について、障害者等のプライバシーに配慮した上で、関係者間で情報共有を図り、以後の相談等において活用するものとする。
5 障害福祉担当課長は、第1項において対応する部署が不明確な場合に障害者等から相談等を受け、これを適当と認める部署へ繋ぐものとする。この場合において、当該部署が適切に対応できるよう、人事担当課長と連携して、必要な助言、情報提供及び啓発を行うものとする。
6 前各項の相談体制は、必要に応じ見直しを行い、充実を図るよう努めるものとする。
(研修)
第8条 人事担当課長は、障害を理由とする差別の解消の推進を図るため、職員に対し、必要な研修を行うものとする。
(その他)
第9条 この訓令に規定するもののほか、必要な事項は、市長が別に定める。
附則
この訓令は、公示の日から施行する。
附則(令和2年3月25日訓令甲第22号)
この訓令は、令和2年4月1日から施行する。
別表第1(第3条関係)
不当な差別的取扱いの事例 |
1 聴覚障害があることを理由に筆談による対応を拒否したり、手話通訳者の派遣を依頼することなく面談を拒否したりする。 2 障害があることを理由に対応の順序を後回しにする。 3 盲ろうを理由に書面の交付、資料の送付、パンフレットの提供等を拒む。 4 障害があることを理由に説明会、講演会等(以下「説明会等」という。)への出席を拒む。 5 盲導犬を連れては入れないと、入庁拒否をする。 6 事務又は事業の遂行上、特に必要ではないにもかかわらず、障害があることを理由に、来庁の際に付添者の同行を求めるなどの条件を付ける。 |
不当な差別的取扱いは、正当な理由なく障害者を本質的に関係する諸事情が同じ障害者でない者より不利に扱うことである点に留意する必要がある。
正当な理由に相当するのは、障害者に対して、障害を理由として、財・サービスや各種機会の提供を拒否するなどの取扱いが客観的に見て正当な目的の下に行われたものであり、その目的に照らしてやむを得ないと言える場合である。正当な理由に相当するか否かについては、個別の事案ごとに、障害者、第三者の権利利益(例:安全の確保、財産の保全、損害発生の防止等)及び事務又は事業の目的・内容・機能の維持等の観点に鑑み、具体的場面や状況に応じて、総合的かつ客観的に判断することが必要である。
職員は、正当な理由があると判断した場合には、障害者にその理由を説明し、理解を得るよう努めることが望ましい。
別表第2(第4条関係)
物理的環境への配慮の具体例 |
1 建物の入り口の段差を解消するために、スロープ(簡易スロープを含む。)を設置するなど、車いす利用者が容易に建物に入ることができ、かつ、施設内も利用できるように対応する。 2 公共施設改修等の際、オストミートイレ、大人用のベッド、大型エレベーターなどを設置するなど、配慮に努める。 3 公共施設等において、パトライト、電光掲示板など視覚的な情報設備の設置に努める。 4 市管理道路等において、誘導ブロックの整備、段差解消などの歩道のバリアフリー化に努める。 5 車いすが必要な来庁者に車いすを提供する。 6 段差がある場合に、車いす利用者にキャスター上げ等の補助をする、携帯スロープを渡す、移動の支援等の補助や、スロープがある移動経路を案内する。 7 配架棚の高い所に置かれたパンフレット等を取って渡す。パンフレット等の位置を分かりやすく伝える。 8 多数パンフレットがある場合パンフレットの内容を口頭で説明する。 9 目的の場所までの案内の際に、障害者の歩行速度に合わせた速度で歩いたり、前後・左右・距離の位置取りについて、障害者の希望を聞いたりする。 10 説明会等において、障害の特性により、頻繁に離席の必要がある場合など、会場の座席位置を扉付近にする。 11 疲労を感じやすい障害者から別室での休憩の申出があった際、別室を確保する。別室の確保が困難な場合、当該障害者に理由を説明し、室内に臨時の休憩スペースを準備する。 12 大きな音がする場所や大勢の人がいる場所が苦手な障害者、パニック等を起こした障害者に対し、別室を用意したり、臨時の休憩スペースを設けたりする。 13 エレベーターが設置されている会場が確保できず、エレベーターがない会場で、説明会等を開催することになった場合に、移動の介助等が行えるよう、入口や階段付近などに、職員を配置する。 14 不随意運動により書類等を押さえることが難しい障害者に対し、職員が書類を押さえることや、バインダー等の固定器具の提供など行う。 15 災害や事故が発生した際、館内放送で避難情報等の緊急情報を聞くことが難しい聴覚障害者に対し、掲示板、手書きのボード等を用いて、分かりやすく情報を伝え、避難場所を案内し誘導を図る。 |
意思疎通の配慮の具体例 |
1 筆談、読み上げ、手話、点字、拡大文字等のコミュニケーション手段を用いる。 2 説明会等で、手話通訳者等を配置する。 3 視覚障害のある委員に会議資料等を事前送付する際、読み上げソフトに対応できるよう電子データ(テキスト形式)で提供する。 4 意思疎通が不得意な障害者に対し、絵カード等を活用して意思を確認する。 5 書類記入の依頼時に、記入方法等を本人の目の前で示したり、分かりやすい記述で伝達したりする。本人の依頼がある場合には、代読や代筆といった配慮を行う。 6 比喩表現等が苦手な障害者に対し、比喩や暗喩、二重否定表現などを用いずに具体的に説明する。 7 障害者から申出があった際に、ゆっくり、丁寧に、繰り返し説明し、内容が理解されたことを確認しながら応対する。また、なじみのない外来語は避ける、漢数字は用いない。時刻は24時間表記ではなく午前・午後で表記するなどの配慮を念頭に置いたメモを、必要に応じて適時に渡す。 8 会議の進行に当たり、資料を見ながら説明を聞くことが困難な視覚又は聴覚に障害のある委員や知的障害や精神障害(発達障害者、高次脳機能障害者を含む。)等のある委員に対し、ゆっくり、丁寧な進行を心がけるなどの配慮を行う。 9 知的障害者、精神障害者(発達障害者)等から、発言等を求める場合は、時間に余裕を持つなどの対応を行う。 10 電話、ファクシミリ、電子メールなど、多様な媒体を用いて情報提供、利用受付等を行う。 |
ルール・慣行の柔軟な変更の具体例 |
1 順番を待つことが苦手な障害者に対し、周囲の者の理解を得た上で、手続順を入れ替える。 2 立って並んで順番待ちする際、周囲の者の理解を得た上で、当該障害者の順番が来るまで別室や席を用意する。 3 事務手続の際に、窓口に来ることが困難な場合に、郵送での手続を行う。 4 事務手続の際に、申請書等の記入が困難な場合に、内容をゆっくりと読み上げ、確認をしながら代筆を行う。 5 説明会等で、車いすの方が出入りしやすいように、出入口に近い席を確保したり、スクリーンや板書等がよく見えるように、スクリーン等に近い席を確保したりする。 6 他人との接触、多人数の中にいることによる緊張等により、発作等がある場合、当該障害者に説明の上、障害の特性や施設の状況に応じて別室を準備する。 7 障害の特性により、疲労を感じやすい委員がいる場合に、会議の途中で、適宜、休憩時間を設ける。 8 車両乗降場所を施設出入口(車いすの方はスロープ付近)に近い場所へ変更する。 9 障害者の来庁が多数見込まれる場合、通常、障害者専用とされていない区画を障害者専用の区画に変更する。 10 非公表又は未公表情報を扱う会議等において、情報管理に係る担保が得られることを前提に、障害のある委員の理解を援助する者、介助者等の同席を認める。 |
合理的配慮は、事務又は事業の目的・内容・機能に照らし、必要とされる範囲で本来の業務に付随するものに限られること、障害者でない者との比較において同等の機会の提供を受けるためのものであること、事務又は事業の目的・内容・機能の本質的な変更には及ばないこと等に留意する必要がある。