○東松島市環境基本条例
平成18年3月20日
条例第2号
(前文)
私たちのまち東松島市は、豊かな自然の恵みの中で発展を続けてきた。
しかしながら、近年の飛躍的な経済活動の拡大や私たちの生活様式の変化などに伴い、本市においても従来の環境行政の枠組みだけでは対応が困難な都市型、生活型の公害や身近な自然の減少などの問題が顕在化してきている。
私たちは、健康で安全かつ快適な生活を営むことのできる恵み豊かな環境を享受する権利を有すると同時に、こうした恵み豊かな環境を維持し、発展させ、将来の世代に引き継いでいく使命を有している。
このような認識のもと、私たちは市民、事業者及び行政の全ての者の協働によって、このあおあおとみずみずしい東松島市が、人と自然が健全に共生し、かつ、環境への負荷の少ない持続的な発展が可能な都市となることを目指し、この条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、環境の保全及び創造について基本理念を定め、市、市民及び事業者の果たすべき役割と責任を明らかにするとともに、環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって市民が健康で安全な生活を営むことができ、人と自然が共に生き続けることができる良好な環境を創造し、将来の世代に引き継いでいくことを目的とする。
(1) 環境への負荷 人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。
(2) 地球環境保全 人の活動による地球全体の温暖化又はオゾン層の破壊の進行、海洋の汚染、野生生物の種の減少その他の地球の全体又はその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全であって、人類の福祉に貢献するとともに市民の健康で文化的な生活の確保に寄与するものをいう。
(3) 公害 環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁(水質以外の水の状態又は水底の底質が悪化することを含む。)、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下(鉱物の採取のための土地の掘削によるものを除く。)及び悪臭によって、人の健康又は生活環境(人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含む。)に係る被害が生ずることをいう。
(基本理念)
第3条 環境の保全及び創造は、市、市民及び事業者が、それぞれの役割分担の下にあらゆる事業活動や日常生活において、地球環境保全の視点から自主的かつ積極的に進めなければならない。
2 環境の保全及び創造は、私たちが、地球に生きる地球人として、自然の生態系への負荷の低減を図り、人と自然が共に生きていくことを目的として行わなければならない。
3 環境の保全及び創造は、地球の資源は限りあるものとの考えに立ち、環境への負荷の少ない持続可能な循環型社会を構築することを目的として行わなければならない。
(市の責務)
第4条 市は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)に従い、環境の保全及び創造に関する基本的かつ総合的な施策を推進しなければならない。
(市民の責務)
第5条 市民は、基本理念に従い、その日常生活において、資源及びエネルギーの消費、廃棄物の排出等による環境への負荷を低減するよう努めなければならない。
2 前項に定めるもののほか、市民は、基本理念に従い、環境の保全及び創造に自ら努めるとともに、市が実施する環境の保全及び創造に関する施策に協力しなければならない。
(事業者の責務)
第6条 事業者は、基本理念に従い、その事業活動を行うに当たっては、これに伴って生ずる公害を防止し、環境の保全のために、必要な対策を講じなければならない。
2 前項に定めるもののほか、事業者は、基本理念に従い、その事業活動に伴う資源及びエネルギーの消費、廃棄物の排出等による環境への負荷の低減その他環境保全及び創造に自ら積極的に努めるとともに、市が実施する環境の保全及び創造に関する施策に協力しなければならない。
(環境への配慮)
第7条 市は、市が行う施策の基本に環境への配慮を置き、環境に影響を及ぼすと認められる施策の策定及び実施に当たっては、その影響が低減されるよう配慮しなければならない。
(環境基本計画)
第8条 市長は、環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、東松島市環境基本計画(以下「環境基本計画」という。)を定めなければならない。
2 環境基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
(1) 環境の保全及び創造に関する長期的な目標
(2) 環境の保全及び創造に関する総合的な施策の方針
(3) 環境の保全及び創造に関する計画的な推進に必要な事項
(4) 前各号に掲げるもののほか、環境の保全及び創造に関する必要な事項
3 市長は、環境基本計画を定めるに当たっては、市民及び事業者の意見を反映することができるよう必要な方法をとるとともに、東松島市環境審議会の意見を聴かなければならない。
4 市長は、環境基本計画を定めたときは、速やかに、これを公表しなければならない。
5 前2項の規定は、環境基本計画の変更について準用する。
(年次報告書)
第9条 市長は、毎年度、環境の状況、市が実施した環境の保全及び創造に関する施策の状況を明らかにした報告書を作成し、これを公表しなければならない。
(地域の良好な環境の保全)
第10条 市は、多くの生物の生存の確保に配慮するとともに、良好な生活環境を保全するため、海や河川等の水環境の保全及び森林、緑地等の保全に関し、必要な施策を実施するものとする。
(事業実施時における環境への配慮)
第11条 市は、環境に著しい影響を及ぼすおそれのある土地の形状の変更、工作物の新設等の事業を行おうとする事業者が、あらかじめ環境の保全について適正に配慮するための必要な施策を実施するものとする。
(規制及び支援)
第12条 市は、環境の保全上の支障を防止するため、必要な規制を行うものとする。
2 市は、市民及び事業者が自らの行為による環境への負荷を低減するための適切な対策について支援を行うための施策を実施するものとする。
(公共的施設の整備等)
第13条 市は、下水道、廃棄物の公共的な処理施設その他の環境の保全を図るための公共的施設の整備に関する事業を推進するため、必要な施策を実施するものとする。
2 市は、公園その他の公共的施設の整備などの良好な環境の創造のための事業を推進するため、必要な施策を実施するものとする。
(廃棄物の適正処理及び減量の促進等)
第14条 市は、廃棄物の処理に伴う環境への負荷の低減を図るため、市民及び事業者による廃棄物の適正処理が促進されるよう必要な施策を実施するものとする。
2 市は、環境への負荷の低減を図るため、市民及び事業者による廃棄物の減量、資源の循環的な利用及びエネルギーの有効利用が促進されるよう必要な施策を実施するものとする。
3 市は、環境への負荷の低減を図るため、市の施設の建設及び維持管理その他の事業の実施に当たっては、廃棄物の減量、資源の循環的利用及びエネルギーの有効利用を推進するものとする。
(環境への負荷の低い製品等の利用の促進)
第15条 市は、再生資源その他の環境への負荷の低い製品等の利用の促進を図るため、必要な施策を実施するものとする。
(自然学習及び環境教育の推進)
第16条 市は、関係機関及び関係団体と協力して、環境の保全及び創造に関し、自然学習及び環境教育の推進並びに広報活動の充実を図ることにより、市民及び事業者がその理解を深めるとともに、環境の保全及び創造に関する活動を行う意欲が増進されるよう必要な施策を実施するものとする。
(市民等の自発的な活動の促進)
第17条 市は、市民、事業者又はこれらの者の組織する民間の団体(以下「民間団体等」という。)が自発的に行う緑化活動、環境美化活動、廃棄物減量活動、再生資源の回収活動その他の環境保全及び創造に関する活動が促進されるよう必要な施策を実施するものとする。
(情報の収集及び提供)
第18条 市は、環境の保全及び創造に関する活動の促進に資するため、必要な情報を収集し、これを適切に提供しなければならない。
(監視体制の整備等)
第19条 市は、環境の状況を的確に把握するための必要な監視、測定等の体制を整備するとともに、環境の保全及び創造に関する施策の策定に必要な環境の状況を把握するものとする。
(地球環境保全の推進)
第20条 市は、地球の温暖化の防止、オゾン層の保護その他の地球環境の保全に関する施策を推進するものとする。
2 市は、国際機関、国、他の地方公共団体及び民間団体等と連携し、地球環境の保全に関する国際協力を推進するよう努めるものとする。
(総合的な調整等のための体制の整備)
第21条 市は、市が行う環境の保全及び創造に関する施策について総合的な調整を行い、計画的に推進するために必要な体制を整備するものとする。
(国及び他の地方公共団体との協力)
第22条 市は、環境の保全及び創造に関し、広域的な取り組みが必要とされる施策について、国及び他の地方公共団体と協力して、その推進に努めるものとする。
附則
この条例は、平成18年4月1日から施行する。